「トーキング コリアシネマ」
最近氾濫している俳優中心の韓国映画/エンタメ本とは一線を画す、数少ない本。

やっとこの人が一冊まとめて韓国映画の本を出してくれたことがとても嬉しい。
私のごひいきなイ・ジョンヒョンの主演作「Harpy」を「はっぴー」と誤訳しているのが悲しいけれど、それは忘れておく(同じ頃公開されたホラーのタイトルが並んでいて、「友引忌」の原題「悪夢」も「はさみ」と誤訳していたので、ほんの1行で2つも間違えているのがちょっと悲しかった。名誉のために言っておくと、そこまで誤訳らしきものが密集しているのはこの本でただこの個所だけだと思う。全体の水準は高い)。

韓国の未公開作を、80年代以前から最近のものまでちゃんと見ているし、他国の映画もちゃんとたくさん見ている。韓国の作家との交流もあって、映画の原作にも詳しい。今後はこういう本がベースになって欲しいなぁ。

石坂浩一さんの文章を始めて読んだのはもう何年前だったか1998年頃だったかな。「接続 ザ・コンタクト」についてネットに書いていたコラムを読んだのが最初だと思う。映画についてのコラムをいくつか読んだ頃、図書館で彼が関わった韓国に関する本を見かけた。いつか一冊まとめて韓国映画だけで書いてほしいなぁ・・・と思って何年待ったことか。やっと来てくれた。ありがとう。ちゃんと売れてほしい。