『日本映画はアメリカでどう観られてきたか (平凡社新書)』北野 圭介著

なかなか読み応えがあった。日本文化のアメリカでの受容について書いた本とも言える。アメリカの当時のマスコミのレビューや評論等をふんだんに引用しながら解説する本書がすばらしいのではあるが、残念なのは、日本映画のアメリカにおける受容と一言で言っても、外国映画をあまり見ないアメリカ人にあって、一般大衆を全体として捉えてどうかということと、アート系映画ファン達がどう受け止めたかということと、映画評論家達がどう批評したかというのはそれぞれ関連はあっても同一には論じられないと思うのだけれども、その辺りの区別が今ひとつ見通しが良くない解説をしているので、分かったようで実はつかみづらいという印象はぬぐえない。それでも間違いなく良書だと思う。