もし、あなたなら 〜6つの視線

というわけで、イ・ヒョンスンプロデュース作品。いくつかの映画祭でかかっていて一応劇場公開予定。国家人権委員会なんてところが作った「教育映画」なのに、あなどれない、小学生には難しすぎますが、高校生くらいなら、変な文部省推薦を見せるよりまとも。

「彼女の重さ」 監督イム・スルレ 「就職に響く」という理由から教師が女子高校生の顔の整形の薦めやら体重管理にまで口を挟むという、まさかこんな高校は韓国にもありませんが、見事です。笑えます。イム・スルレのファンでいてよかった。

「その男、事情あり」 監督チョン・ジェウン これから来る「子猫をお願い」の監督、物語は私はどうでもいいです、が、演出力は評価するに十分。記号的な映像の使い方はマル。

「大陸横断」 監督ヨ・ギュンドン 「寵愛」の監督なんですが、身障者をストレートに撮ったドキュメンタリー的作品。片側5車線だか何車線だかわからないメインストリートを決死で「大陸横断」する映像は、衝撃すごいです。

「神秘的な英語の国」 監督パク・ジンピョ 韓国で実際に行われる、子供が英語の発音をしやすくするための「舌の手術」の本物のあまりに生なましすぎる映像を使った作品。監督の演出力の有無なんてどうでもいいです、この映像だけでもう・・・。

「顔の価値」 監督パク・クァンス 私は好きな監督なんですが、今となっては旧世代。民主化で描けるようになって出てきた政治的なテーマで評価された、パク・チョンウォンやチャン・ソヌとかと監督歴としては似たような世代なんですが、あっという間にそういう時代は終わって、時代遅れ扱いされてしまって私は悲しいのですが、といっても、やはりときに時代遅れを感じるのは確かです、ええ、6作の中で一番、遅れてます、オチはどうでもいい、でも、男女のセリフの掛け合いは、韓国風と言ってしまうことは出来るかもしれませんが、なかなかのもんです。

「N.E.P.A.L」 監督パク・チャヌンク 卑怯です。「ターミナル」なんて映画がそういえば来ますが、韓国に出稼ぎに来て、言葉が通じなくて精神病患者と間違えられて、6年4ヶ月病院などをたらいまわしにされてしまったネパール人を扱った実話を基にした作品っていうだけで、もう話を聞いただけで泣けそうなものです。こんなの、TVのゴールデンタイムのその手の番組で再現映像にされただけでハンカチもの確定なんですが、もちろん、パク・チャヌクは、インタビュー形式と当事者の視点を織り交ぜた演出で、映画監督らしく、非常にしっかり撮ってます。パク・チャヌクも私の中で巨匠入り。