日本における韓国映画興行成績について。

昨年は、韓国映画興行において、二つの山があった。

一つは「スキャンダル」「シルミド」「ブラザーフッド」の3本がクライマックスになった春から夏にかけて。もう一つは「オールドボーイ」「誰にでも秘密がある」「僕の彼女を紹介します」の秋から冬にかけての山。

最初の山は、配給側の強気が見事に外れたが、後ろの方は、むやみに強気ではなかった半面「僕の彼女を紹介します」では、見事に「シュリ」の興行成績を突破し、日本における韓国映画興行史上No.1を塗り替えた。

ブーム(といっても映画の、であってドラマの、ではないことに注意)先駆けが「シュリ」で、その後「JSA」がまぁまぁヒットしたことから「南北分断なら流行るだろう」的な誤解を配給側や韓国サイドがしてしまったのがあるようだが(カン・ジェギュも何かのインタビューで言っていたような)、後半の方がセレクション的に正しかった。「猟奇的な彼女」だって知られていればもうちょっと興行が伸びでも不思議がない作品だったし。ボクカノは何よりCMがよさげに見えるのが興行に繋がっただろうし。
「シュリ」JSA」「シルミド」「ブラザーフッド」という流れは(「友よ チング」もだが)、そもそも韓国でスーパーヒットした映画という流れなので、「シュリ」が韓国で公開された当時、当時の韓国映画を知っている人間たちは「すごい作品が来た」と思ったのは確かなわけで(作品単独で好きかとか評価するかとかは別として)、巨費と才能を投じた、韓国でヒットすべからくしてヒットした作品たちというのがこの4本で、その勢いで日本には来たわけだけれども、皮算用しすぎちゃいけないだろうと。「ブラザーフッド」については、最初から海外マーケットを意識した作品ではあるけど、結局はそういうことだと思うし。
#ちなみに、JSAが日本で拡大公開されると聞いたときには、私の周りでは「映画の作品の質は高いけど、シュリの後釜でヒットさせてブームを作ろうという作品には向かない」と口々に言っていたものだが。

興行とは別で、去年のキネ旬ベストテン、韓国映画がなんと4本も入ったわけだが、みんなが見た作品は上位に来やすいのが影響しすぎているというか、逆にかつての「八月のクリスマス」なんかはもっと知られていれば上位だったろうというわけで、去年と比べると、今年はキネ旬ベストテンクラスの韓国映画は減っている気がするが(「サマリア」はどうだろう。あとは「大統領の理髪師」「マラソン」あたり?)、やはり去年と同じで他にいい作品がないとか、たまたま韓国映画が話題なので評論家が見てしまって上がってきて3本くらい入ってしまうかもしれない。
#私としては「地球を守れ」あたりが入ってほしいが無理だろな・・・。