「映画 あるいは20世紀の思考装置」越後谷卓司著 愛知文化情報センター

愛知文化情報センターというのは、超端折って言えば、愛知県の機関で、アートの企画・発信をしてるところ
http://www.aac.pref.aichi.jp/bunjyo/center/
そこの学芸員として映像作品の制作(県の予算で、海外の映画祭で賞を取るようなアート映像作品を作ったり)、上映なんか(だけじゃないはずだけど)をしている、実験映画の専門家、そして(制作もやってるから)アーティストの越後谷卓司さんの本。文化情報センターの上映会のパンフレットに寄せた文章や、新聞の文化欄の記事などを集めている。
この文化情報センターの、というか越後谷さんの企画、行く機会ははっきり言えば少ない方なんだけど、これらのイベントとの出会いで、かすかに自分の中で(ちょっとだけ)関心領域になりつつあった、身体表現と映像表現というものの関係というか融合というかのツボにはまったところはあります。舞台表現(いわゆる演劇やミュージカル、オペラなど)って滅多に見に行かないのだけれども、そういうのと映画の関係っていうテーマ自体はスリリング。越後谷さんのような専門的な映像の見方は私にはできないけれど、そういう視点で書かれた実験映画の歴史や、一般劇場映画に対する言及の中に、普通の映画雑誌やネットの批評ではあまり見ることのできない観点だけれども、えらく共感してしまう断片が、ちらほら出てくる。この時期にこの地域にいたという共感もあるのかなぁ。
地方都市だと、当然ある映画が、東京での上映を終えて、批評が固まってから、こちらでの上映が始まる、などの、こういう時期的な巡り合わせは、同じ地方でしか味わえないところでもあって。
いろんな意味でスリリングな本でした。
愛知芸術文化センター地下2階のナディフ愛知と、名古屋シネマテークでしか買えないというのが残念。ほしい人がいたら、代わりに買って郵送してもいいよ(ってこんなところを読んでる人にはいないだろな。。。