そのいち

瀬戸愛知県館
シアターの演目「森の一瞬」(池本善己)を見る。メッセージ性が強くてわかりやすい演目だったが、写真家の作品を組み合わせて作っている映像だけに、ほかのパビリオンの映像作品と比べて、決して質は低くなかった。ちうか、私に言わせれば、固定スクリーン投影ベースの出し物の中では、ほかのパビリオンではなく、これがベスト映像。

愛知万博。当初瀬戸に大きな会場を作る計画で進み、環境破壊の批判を浴びた。メイン会場を長久手に移したと聞いて非常に驚いたことをはっきり覚えている。「森の一瞬」は、そこまでの経緯を率直に語る。「森の一瞬」曰く、瀬戸の森(海上の森)を守るために、会場は森の端の一角のみとし、工事も環境保全に非常に気を遣い、閉幕後は森を学ぶ施設にするとか。とはいえ、「森の一瞬」は語らないが、やはり環境保全の立場からの批判は相変わらずなくなった訳ではない。しかも、「森の一瞬」は、この万博の判断を、無条件に全面的に賞賛したりはしない。「森の一瞬」は、工事中に、一本の木を、どうしても切りたくなかったために、前例のない措置として、根から移して会場内に移植し、それが成功したとのエピソードを語る。そして、それでよかったのかと問いかけ、ただ木を守れたことは喜ばしかったとそれを受ける。ある意味、非常に率直である。立場によって評価は様々だろうが、アイロニーすれすれのこの映像表現に、ヤラレタ。
http://www.aichiken-kan.jp/morino_gekijyou.html