『敗戦の記憶―身体・文化・物語1945-1970』五十嵐 惠邦著

これは、同時代を体験した者からすると、ただ当たり前のことを書き連ねたものかもしれない、著者自身あとがきにそう書いている。しかし、後の世代が読むには十分面白かった。戦後の文学・映画なども引き合いに出しながら、戦争・戦後が日本人の中にどう消化されたのか。力道山を引き合いに出しながら、日本バレーの活躍を引き合いに出しながら、日本人自身は時代をどう捉えたのか。とは言え、著者により歴史のある断面を取り出したものであってこれを日本の戦後の全体像だというのは拙速ではあろうが、考えるところは多い。