『映画でわかる世界と日本』佐藤 忠男著

佐藤 忠男の最新の映画本。1973年の本から一部抜き出しつつ近年の雑誌に寄せた記事と書き下ろしとで構成。全体構成としては若干まとまりがなく、彼の映画論と思想を縦横無尽に語った本。佐藤節全開で面白くはある。主に欧米の映画と日本映画については古い作品を中心に世相と映画の関係を語り、近年の作品についてはアジア映画やイスラエル映画等を取り上げている。私が見ていない作品が非常に多いので評価しづらいが、こういう視点で世界をみるのもいいのではないだろうか。近年の中東の映画についてまとまって書かれた資料は多くないし、読む価値はある。