『証言「北」ビジネス裏外交--金正日と稲山嘉寛、小泉、金丸をつなぐもの』河 信基著

著者の主張を鵜呑みにするのもどうかと思うのだが、独自のジャーナリズムで彼の観点をウォッチしないでおくのはもったいないとは言える。煽り気味のタイトルの割に北朝鮮との通商を推進する立場のように思える。本書は1990年以前は日朝の接近は米韓に邪魔されてきたとする。ただ、いずれにしても、日本の北朝鮮への強硬姿勢は少なくとも米韓、そして多少なりとも中ロの動向抜きに単独行動しても効果は薄い。その米韓は政権交代もあれば各国内世論の動向で動きがかわり、日本政府の影響力は少なくとも今のところ十分に発揮出来ているとは言い難いし、方法論でどれだけなんとかなるか。外交のリアリズムの上での最善手は何なのかというのは簡単ではあるまい。