『宮崎アニメの暗号 (新潮新書)』青井 汎著

宮崎作品を各種のもの−映画『ミツバチのささやき』、五行思想ケルトetc−との類似性を指摘しつつ、映画の背景の思想を断言しまくる本。読んでいて面白みはあるが、彼の主張を鵜呑みにすると多分恥をかく。説得力に欠ける。
ただ、類似性の指摘が間違っているというわけではなく、彼の作品の背景を考える上で参考にするのは悪くない。映画との比較も多い。『天空の城ラピュタ』においてヒロインのシータという名前の由来を本書ではインド神話『ラーマヤナ』に求めている。宮崎駿自身はそうではないと書いているが、確かに『ラーマヤナ』映画化に宮崎駿が関わってその影響を受けたのはまず間違いない(一部は本人も認めているようだ)が、どの程度どのように影響を受けたかについては本人の発言をただ鵜呑みにするだけでも分からないように思われる。正解にたどり着けるかわからないが、色々考察するのはそれはそれで面白いか。