『開国への道 (全集 日本の歴史 12)』平川 新著

既存の解釈に一石を投じる姿勢は好感が持てる。論拠に薄い自説がちょっと目立つのだが。歴史の再解釈に力を入れるあまり、別に力点をおかなくてもいいところにページがさかれていたり。
それでも、環太平洋の中で世界史の中で幕末へ進む関係をみようという意欲。これは安土桃山から江戸末期にかけて日本がまるで閉じている間に単に西洋に対して遅れるだけだったのがペリーにひっくり返された、みたいなそろそろ古びつつある解釈を捨てて、どんな外交をしつつ、どんな政治体制を日本がしきつつ開国に至ったかを見るという意味では視点の転換自体は重要。何故日本は明治維新で仮にも世界の大国に足を踏み入れることが出来たのか、それを理解するには古典的な歴史解釈では説明につまるであろうとは。