『尼港事件の背景を探る』

佐藤 誠治著
各種戦後文献、当時の文献、当時の新聞等をつきあわせて、日本のシベリア出兵時期にロシアの極東日本に近い町で起こった日本が被害を受けた事件の背景を探る。調査は非常に綿密に行い、史料比較で公平に努力している。入門書としては悪くないのだろうか。しかし、推測等から著者が語る意見の根拠は時々薄いように感じられて首をかしげたくなる所もあるので、本書の内容をベースに本事件を語るのはちょっと控えた方が無難な気はする。(著者は在野の研究家でしかないようだし)