『越境の映画監督 日夏英太郎』日夏 もえ子著

2011年の本。日夏英太郎については過去に『シネアスト許泳の昭和 (シバシン文庫 5): 内海 愛子, 村井 吉敬: 本』(1987)(現在では入手困難? 図書館の蔵書をしているところは容易に見つかるのが救いか)で描かれているが、満州に生まれたとされる朝鮮系で、日本植民地化朝鮮で映画監督となり、当時は当然のように日系の監督たちと映画製作等に携わり、戦後は、日本にいても戦犯になるかもしれず、韓国に残ったとして親日派と言われる恐れあり、インドネシアに渡って映画監督としてインドネシア映画に貢献して亡くなった彼について。しかしこれが、当の娘はずっと何も知らされず、父はWW IIで亡くなったと教えられ、2000年頃ぐらいか(正確な所は本書をご確認ください)前述のシネアスト本を他人に勧められて突然多くを知らされた。そして存命でそれを多少なりとも知っていたけど彼女に告げていなかった人たちからも関連することを聞くこととなる、と。越境の映画監督に著者による色々な情報があり。本書を見ると、当時の日本の映画業界に関して調べ残したことが多数あるように見受けられ、もちろん存命の方は少ないので調査自体困難ではあろうけれど、まだまだ記録の欠落を埋める余地はあるのではなかろうかという気にはさせられる。