読書

『映像編集入門―動画を自在に操るコツ―』岡村 征夫著

映像編集一般について。所謂商業映像作品にも通じる話から、PC上でのパーソナルユースな編集にも使える話まで。いい時代になったなー。ホームビデオの編集してみたい人も、本書全体ではオーバースペックな解説ではあるけど参考にならなくはないかと。

『トランスレーター ある日本人戦争捕虜の八カ月: 著』粉川 清著、粉川 英夫・美穂子編

第2次大戦後英軍の捕虜となり、スマトラ、マレーシア、シンガポールと通訳として英軍下でつとめたある日本人の日記のようなもの。これも歴史の一頁だなぁ。興味深く読んだ。

『ソウルで楽しむK-POP完全ガイド (キネマ旬報ムック)』

K-POPを現地で楽しみたかったら、についの日本語の書籍では最近では一番しっかりしてるんかな。まぁ、この手のものは割とすぐ古くなる運命なんだけど。出版時点では日本語でこの手の情報を得たい人は買っておきたい本の一冊ではないでしょうかと。その後何か…

『これだけは知っておきたい 日本と朝鮮の一〇〇年史 (平凡社新書)』和田 春樹著

新書で文章はちょっと調子に乗りすぎた感があるけれど、一定水準以上の調査がなければ書けない水準のものであるのは参考文献や言及文献でわかるのだが、あくまで「一定水準以上」であるという以上には水準自体への評価はとどめておくとして、しかし、本書を…

『非常事態宣言1948――在日朝鮮人を襲った闇』金 賛汀著

日本が連合国軍による占領下にある1948年4月24日夜、神戸で、空前絶後の非常事態宣言が発令された。なぜ、神戸という場所で、民族教育を求めた在日朝鮮人を対象として、非常事態宣言が発令されたのか。日・米・朝鮮半島をめぐる冷戦構造のもと在日朝鮮人が抱…

『北朝鮮に消えた歌声―永田絃次郎の生涯』喜多 由浩著

日本でかつて名声を得ていて、北朝鮮に帰国事業で渡ったオペラ歌手。こういう人のドキュメント的記録は色々あること自体はよいことだと思う。

『日本帝国と大韓民国に仕えた官僚の回想』任文桓著、鄭大均(首都大学東京教授)=序

1975年に一度出た、韓国の元官僚(故人)の回想。本書そのものは十分面白いので、日本統治下の朝鮮半島の状況とその統治組織に入った現地の人が戦後韓国の政府・行政にどのようにかかわっていったのかという一例として見どころあり。しかしながら、鄭大均序…

『紛争屋の外交論―ニッポンの出口戦略 (NHK出版新書 344)』伊勢崎 賢治著

バッシングもされる著者だが、紛争解決に実質的に関与した経験では日本人では彼レベル以上の経験者はそうはいない。世間には「リアリズム」を自称する「軍備しさいすればしないよりは危険は必ず減る」「悪い敵には強硬論が最適戦略」みたいな単純なカビの生…

『映像演出の教科書 (玄光社MOOK)』藍河 兼一著

実写映画について、シナリオと絵コンテにその演出意図も解説してわかりやすい本に。藍河 兼一自身がそのコンテで撮った映像はyoutubeにあるという親切設計。説明されてる映像もなかなか面白い(演出上気になる点がまったくないってわけではないんだけど)。…

『ネット大国中国――言論をめぐる攻防 (岩波新書)』遠藤 誉著

世間に氾濫している俗流中国論ではなく、ちゃんとまともな本を読んでから中国文化を論じましょう、的な意味では、本書も読んでほしい一冊。もちろん、本書を読んだだけでは不十分ですが。ネットが中国に与えている影響とその政府のコントロールというのはど…

『耳の聞こえない私が4カ国語しゃべれる理由』金修琳著

障害を抱えながら仕事で結果を出してがばってる人の本。まぁこの手の本なら読まなくても想像できる程度には「元気を与えてくれる本」まぁ、誰にでも真似ができるわけじゃないけど。でも、割といい本じゃないでしょか。130dB以上でやっと音に反応できる程度と…

『世界のレッドカーペット ~「釜山国際映画祭の父」が見た40の映画祭~ (ヨシモトブックス)』キム・ドンホ著、鈴木 深良訳

元釜山国際映画祭の執行委員長キム・ドンホ氏が世界各地の映画祭を旅し、各国の映画人とふれあった所から書いた、世界の映画祭ガイド。韓国映画に興味のない向きでも一つのガイドブックとしては読める。一方で、各映画祭で韓国映画がどのように取り上げられ…

『イスラーム革命の精神 (学術選書)』嶋本 隆光著

1979年革命に大きな影響を与えたモタッハリー中心に現代イランのイスラム思想を掘り下げる。宗教ベースと馬鹿にすることなかれ。現在の日本はこれ以上にモダンな思想が当然であるなどと果たして言えるかどうか。

『クワイ河に虹をかけた男―元陸軍通訳永瀬隆の戦後 (教科書に書かれなかった戦争)』満田 康弘著

戦場にかける橋で有名なあのクワイ河の橋の当時の本当の当事者たちの過去と今の物語。映画は映画で脚色がもちろんある。当事者たちの時を超えた再会等色々と。

『いたずら五人ぐみ オチョグニ』パク・ヨンチョル文と絵, 星あキラ、キム・ソンミ共訳

韓国や中国でも屋根の上で見かける「オチョグニ」についての物語。絵本です。

『リバーウォークの魅力と創造―川を活かした都市再生』吉川 勝秀著

大都市には大抵川がある。河岸の開発の重要性。ちょくちょく韓国はソウルのチョンゲチョンの再開発の話題にも触れている。あれは「よい事例」なのだろう。

『メキシコの美の巨星たち―その多彩でユニークな世界』野谷 文昭著

メキシコのアート界を色々紹介。映画の話題も割と。男優、女優、ブニュエル。

『韓国のFTA戦略と日本農業への示唆』柳 京煕, 吉田 成雄編著

日本のTPPに絡んで、韓国ではFTAで何がどうなったのかを示すという形。

『イラン現代史 従属と抵抗の100年』吉村 慎太郎著

とても面白く読んだ。イランの現代史。知らなければともするとただの遅れた国とか偏見を抱きかねないが、イランにはイランの近代前史、近代化、現代化の歴史がある。ちなみに、第二次大戦中、当時の日本ではあまり話題になっていなかったようだが、英露の交…

『中国、インドなしでもびくともしない日本経済』増田 悦佐著

書名ほど過激ではないが中国やインドの経済成長について「世間で言われるのとは違う姿」を示そうとする。著者の立ち位置はその他の書籍を見る等して把握して読むのがよいか。

『李健煕(イ・ゴンヒ) ──サムスンの孤独な帝王』李慶植著、福田恵介訳

サムスンの帝王、李健煕伝記。それなりに面白い、といっても劇的に書かれすぎているきらいがあるのだが。李健煕が映画界にあこがれてスピルバーグと会ったことや美術界との関わり(資産対策なのかCSRなのか、サムスンの美術館への関与)。 でも、本書でこの…

『官民協働の文化政策 人材・資金・場 (文化とまちづくり叢書)』松本茂章著

京都芸術センター、大阪の劇場寺院應典院、神戸CAP HOUSEなどの事例などから。従来型の反省も踏まえて行政を巻き込んでどんなコンテンツが作れるのか、と。映画ジャンルその他にも関係する話。愛知・名古屋周辺でも何か実現しないかな。中々興味深く読んだ。

『証言 日中映画人交流 (集英社新書)』劉 文兵著

これも面白かった。前作『中国10億人の日本映画熱愛史』(私は未読)に続く本だそうだ。高倉健、佐藤純彌、栗原小巻、山田洋次へのインタビュー取材と木下惠介の足跡に関するインタビュー含む取材。日中映画人の交流に関する興味深いエピソードたち。もちろ…

『フランス映画どこへ行く―ヌーヴェル・ヴァーグから遠く離れて』林 瑞絵著

最新のフランス映画の産業や作家の現状、そして今後について。とても面白かった。商業性と作家性の両立はどこに行くんだろう。監督や評論家へのインタビューも面白かった。個人的には日本映画の現状等と比べたくなる。全体的にはフランスの映画学校への批判…

『マルチリンガル教育への招待―言語資源としての外国人・日本人年少者』中島 和子著

これもまたとても面白かった。帰国子女的なバイリンガル教育、移民その他の言語マイノリティへのマルチリンガル教育。この手のマルチリンガル教育は失敗すればどっちの言語も身につかないリスクがある。対処しようとするとコストがかかることから「そのコス…

『台湾 日月潭に消えた故郷―流浪の民サオと日本』坂野 徳隆著

これも興味深く。植民地化、日本によって建造され、現在でも台湾最大の水力発電所であり、観光地であり、とある台湾少数民族の貴重な土地でもある。

『東アジア世界の近代――19世紀 (岩波講座 東アジア近現代通史 第1巻)』和田 春樹, 後藤 乾一, 木畑 洋一, 山室 信一, 趙 景達, 中野 聡, 川島 真

注目している。とても興味深く読んだ。この第1巻では従来の歴史で語られる時に見落とされがちな視点(POV)の論文が多数。基礎知識としては、まず一般的な通史を頭に入れておくのがよいのだろうけれども、歴史をたった一本の流れで見ることにおぼれないために…

『戦略外交原論』兼原 信克著

現役外交官の見る外交。あんまりこういう立場を私は支持しないけど。

『戦前昭和の社会 1926-1945 (講談社現代新書)』井上 寿一著

2冊共に、朝鮮半島関係を含む日本の近代史を見るまた一つの視点として。面白い。

『1920年代の日本と国際関係―混沌を越えて「新しい秩序」へ』杉田 米行著